発表会にはピアノを弾く人と聞くだけの人がいるわけで、場合によっては両者は同じ高さのフロアに居て距離も近かったりするのだが、決定的に立場が違うのだ。発表会の中で演奏が止まってしまってなかなか復帰できず手こずってしまった生徒がいたが、一人で演奏するためにあの椅子に座り最初の一音を弾き始めたら最後、もう誰も手助けなどできないのだ。スカイダイビングのようなものだと俺はいつも思う。テンポという突風、強力な引力の中で、これに吞まれないぞと目を開いて前のめりになり、ヘッドファーストで突っ込んでいくのだ。そんな大げさなと思う人もいるかもだけど、俺は4,5歳そこらで人前でピアノを弾く子どもたちを見て尊敬の気持ちでいっぱいであった