俺が一番好きな映画である耳すまのIMAX版は今まで観た耳すまの「視聴」の延長などではなく言わば「体験」といった感じの、全く別の出来事であった。とにかく2分おきに今まで気付かなかった事に気付く。家の背景の奥の方に描き込まれた本棚があるとか、丘の上から向こうに見える街や風の混ざった音が聞こえるとか、セミの声がいかにも平成のセミって感じするとか、そういう新しい発見が立て続けにあり、作り込まれた世界への引き込み力がとても強いものだった。耳すまはこの画像のキービジュアルがよく使われているのだけど、俺はあまりこれが好きじゃなくて、何でかっつーとこのシーンは見栄えは良いけどあまり映画の特徴を表してないなぁと思ってたから。でも今回IMAX版を観て考えが変わった。雫が物語を書いた事は挑戦だったけど、現実世界からバロンの世界(または自分の内面)への旅のようなものでもあったなとも思うようになった。それによってこの上半分がバロンの世界で下半分が現実世界の絵は、この映画の特徴のひとつをとてもよく表現しているなと考えが変わった。この気づきは間違いなくIMAXの圧倒的な没入感が生んだものだと思う。俺がこの映画で一番好きなシーンは洞窟のとこなんだけど、それに続いて川沿いをなんとなく歩くシーンもすごく好きで、梅雨頃の曇り空、ちょっと湿気た空気、特に何があるわけではない道を歩く、そういう空気感や匂いが伝わってくる何でもないシーン、それがIMAXでは一層深く体験できた、そういう点も良かった。地球屋から街を見下ろすシーン、スタッフロールの歌と映像、「私、書いてみて分かったんです。書きたいだけじゃダメなんだってこと」のとこ、挙げるとキリがないがすべてが本当に良かった